こんにちは。私は2024年夏にJR最長片道切符の旅を実施しました。今回はその旅の道中で訪れた北海道札幌市での観光を、街歩き東大生の視点から紹介します。札幌市には大通公園や創成川を基準に区画が分けられていますが、実は住所が「北海道札幌市」で終わってしまう地点があるのです。その他ちょっと自慢できる札幌プチ情報をご紹介します。札幌観光の前に必見です!
札幌までの流れ
前日は石勝線の追分駅で途中下車をし、その後少し移動した新千歳空港の温泉で一晩過ごしました。追分駅から新千歳空港へ移動する際、石勝線を経由します。家畜の匂いがとても強い区間でした。次の日にまた追分に戻り、室蘭本線と岩見沢駅を経由して札幌駅へ向かいます。
ちょっと不思議な札幌観光
札幌の中心には住所がない?
札幌市中心部の住所は、碁盤の目状に区画された「条・丁目制」によって非常に分かりやすくなっています。
札幌の中心部は、大通公園を基準に南北の「条」、創成川を基準に東西の「丁目」が規則正しく並び、まるで碁盤の目のようです。例えば、大通公園から北へ行けば「北1条」、南へ行けば「南1条」となります。東西は創成川から西へ「西1丁目」、東へ「東1丁目」と数字が増えます。札幌中心部の住所は「南1条西5丁目」といった形の表記が用いられています。
この考え方を用いれば、大通り公園は0条にあたります。この場合0条といった住所は付けられず、単に「西⚪︎丁目」と表記されるようです。同様に創成川は0丁目にあたります。さあ、お分かりいただけたでしょうか。このシステムだと、創成川と大通り公園が交差する地点は両方数字が0のため、カットされてしまい、住所がなくなってしまいます。というわけでこの「住所なし」地点をみにいってみることにしました。
この場所には西野康造氏が手がけた「スノーリング」がありました。原点0地点のシンボルとして2010年に作られたそうです。このスノーリングの住所を調べると「北海道札幌市」とだけ書かれていました。幸いこの周辺は公園となっており、「住所なし」によって住民に不都合が生じているということはなさそうです。

お寺が川沿いにあるのはなぜ?
札幌は碁盤目状に区画が整備されていますが、町の南東を流れる大きな豊平川を境に碁盤の目の向きが傾いています。おおよその感覚として、この豊平川より札幌駅側が都心部、豊平川を超えるとだんだん市街地らしくなってくるといった印象かと思います。そしてこの豊平川の周辺にはたくさんのお寺があります。逆に豊平川を離れると、あまり寺が見つかりません。どうしてでしょう。
北海道出身の友人に聞いてみたところ、どうやらこの立地は「明治政府が意図的にやった可能性が高い」とのことでした。札幌に開拓使が入ったのが明治2年、この頃は明治維新によって天皇を中心とした政治体制を築きあげようとしていた時期です。できるだけ仏教などの他の宗教は取り除きたいと考えていました。ですが急にお寺を壊すとかえって住民の反政府的感情を刺激してしまう、と思ったのかは分かりませんが、お寺を札幌に作っても良いということになったそうです。それで提供した場所が、水害が発生した時に真っ先に被害を受けるであろう豊平川の川沿いだったのでは?ということでした。
餃子とカレーが一緒に出てくる店「みよしの」
北海道の人たちのソウルフードとして「餃子カレー」が有名です。昔からこの餃子カレーを提供しているのが「みよしの」です。ソウルフードとはいえ、家庭で餃子カレーを作ることはなく、皆この「みよしの」で食べるそうです。
なぜ餃子とカレーを一緒に提供するようになったのか、その起源についていろいろ調べてみましたが、これといった情報は見つかりませんでした。何か有力な説をご存知の方がおられましたら、ぜひご連絡ください!

盆踊りをやっていた
大通公園を歩いていると、盆踊りをしているのを発見しました。北海道の多くの地域では盆踊りは2部制で、子供の部と大人の部に分かれているそうです。私がみたのは子供の部。「子供盆踊りの唄」という名前で有名な曲が鳴り響いていました。本州で生まれ育った私にとっては盆踊りで大人と子供を分けるのは新鮮に感じます。
とうもろこしを売るカート
大通公園を歩いていると、とうもろこしを販売するカートに遭遇しました。「とうきびワゴン」と呼ばれ、大通公園の名物とのことです。北海道ではとうもろこしのことを「とうきび」と呼ぶそうです。美味しそうな匂いが漂っていました。
その他の有名観光地をざっと紹介
大通公園(おおどおりこうえん)
札幌市中心部を東西に横切る、長さ約1.1km、面積約7.8haの広大な公園です。元々は火防線として作られましたが、現在は季節ごとの美しい花壇や噴水、彫刻などが配置され、市民の憩いの場として親しまれています。初夏にはライラックまつり、夏にはさっぽろ大通ビアガーデン、冬にはさっぽろ雪まつりやミュンヘン・クリスマス市など、年間を通して様々なイベントが開催され、多くの観光客で賑わいます。公園の東端にはさっぽろテレビ塔がそびえ、札幌のシンボル的な景観を作り出しています。
さっぽろテレビ塔(さっぽろてれびとう)
大通公園の東端に位置する、高さ147.2mの札幌のランドマークです。地上約90mにある展望台からは、大通公園の四季折々の風景や、札幌市街、遠くには日本海や石狩平野まで見渡せる360度の大パノラマが広がります。特に夜景は「日本の夜景100選」にも選ばれる美しさで、多くの観光客を魅了します。展望台まではエレベーターで約60秒。展望台の他にも、お土産ショップやレストラン、地下には休憩スペースや飲食店もあり、観光の拠点としても利用できます。
札幌時計台(さっぽろとけいだい)
正式名称は「旧札幌農学校演武場」。アメリカ中西部の開拓地の学校で使われた建築様式が特徴の木造建築で、1878年(明治11年)に札幌農学校の演武場として建設されました。その翌年に設置された時計は、今も時を刻み続けています。札幌の開拓時代を象徴する歴史的建造物であり、国の重要文化財にも指定されています。内部は資料館になっており、札幌農学校の歴史や時計台の仕組みについて学ぶことができます。周囲の高層ビル群の中に立つその姿は、札幌の歴史を感じさせる貴重な存在です。
北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)
北海道開拓時代の面影を色濃く残す、アメリカ風ネオ・バロック様式の歴史的建造物です。1888年(明治21年)に完成し、約80年間にわたり北海道の行政を担ってきました。多数の赤レンガが使われていることから「赤れんが庁舎」の愛称で親しまれています。現在は北海道立文書館、北海道の歴史に関する資料を展示する「北海道博物館赤れんが分館」などとして利用されており、内部の見学も可能です。周辺は池や花壇が整備された緑豊かな庭園となっており、四季折々の美しい景色を楽しむことができます。
札幌雪まつり(さっぽろゆきまつり)
毎年2月上旬に大通公園、すすきの、つどーむの3会場で開催される、札幌を代表する冬のビッグイベントです。世界各地から多くの観光客が訪れる国際的な祭りとして知られています。メイン会場の大通公園では、陸上自衛隊や市民グループが制作した大雪像や氷像が立ち並び、夜にはライトアップされて幻想的な世界を創り出します。すすきの会場では氷彫刻、つどーむ会場では雪のすべり台などのアクティビティが楽しめます。開催期間は約1週間で、冬の札幌を彩る一大イベントです。
札幌ビール園・サッポロビール博物館
日本で唯一のビールに関する博物館であるサッポロビール博物館では、サッポロビールの歴史やビールの製造工程、日本のビール産業の歩みなどを学ぶことができます。建物自体も赤レンガ造りで趣があり、見学ツアーでは試飲も楽しめます(有料)。隣接する札幌ビール園では、できたての生ビールと北海道名物のジンギスカンを堪能できます。明治時代から続く工場の一部を再利用した開拓使館など、レトロな雰囲気の中で食事を楽しめるのが魅力です。ビール好きにはたまらないスポットです。
白い恋人パーク(しろいこいびとぱーく)
北海道を代表するお菓子「白い恋人」のテーマパークです。石屋製菓が運営しており、お菓子作り体験ができる工房や、白い恋人の製造ラインの見学、チョコレートの歴史を学べるチョコレートファクトリーなどがあります。敷地内には美しいローズガーデンや、からくり時計が楽しいチョコレートカーニバルなど、見どころが満載です。可愛らしい建物や庭園は写真スポットとしても人気で、子どもから大人まで楽しめる夢のような空間が広がっています。お土産ショップでは白い恋人だけでなく、パーク限定の商品も購入できます。
札幌市円山動物園(さっぽろしまるやまどうぶつえん)
札幌市の西部に位置する、北海道で最初に開園した動物園です。ホッキョクグマやアムールトラ、レッサーパンダなど、約170種1000頭の動物たちが飼育されています。動物たちの生息環境を再現した展示方法が特徴で、ホッキョクグマ館の水中トンネルや、オオカミの森など、より自然に近い状態で動物たちの姿を観察できます。動物園全体が小高い丘陵地にあるため、園内を散策するのも気持ちが良いです。動物の生態を学べるイベントや餌やり体験なども開催されており、家族連れにも人気のスポットです。
モエレ沼公園(もえれぬまこうえん)
彫刻家イサム・ノグチが「全体を一つの彫刻作品とする」というコンセプトで設計したアート公園です。かつてゴミの埋め立て地だった場所が、壮大な芸術作品へと生まれ変わりました。広大な敷地内には、ガラスのピラミッドやプレイマウンテン、モエレ山など、様々なモニュメントや施設が点在し、それらが有機的に配置されています。四季折々の自然とアートが調和した空間は、散策やピクニックに最適です。特に夏には水遊びのできる「モエレビーチ」や噴水があり、冬はクロスカントリースキーも楽しめます。
札幌芸術の森(さっぽろげいじゅつのもり)
札幌市南区に位置する、広大な敷地を持つ芸術文化施設です。野外美術館、札幌芸術の森美術館、工芸館、佐藤忠良記念子どもアトリエ、野外ステージなど、多様な施設が集まっています。野外美術館では、彫刻家・佐藤忠良の作品をはじめ、国内外の現代彫刻約70点が自然の中に展示されており、散策しながらアートを楽しむことができます。自然豊かな環境の中で、芸術に触れることができる貴重な場所です。ワークショップやコンサートなども開催され、芸術体験の場としても利用されています。
札幌場外市場(さっぽろじょうがいいちば)
札幌市中央卸売市場の場外に位置し、新鮮な海産物や農産物、加工品などを扱う約60店舗が軒を連ねる市場です。活気あふれる市場内では、北海道ならではの新鮮なカニ、ウニ、イクラなどの海鮮類や、採れたての旬の野菜、果物が豊富に並びます。試食ができるお店も多く、地元の人々はもちろん、観光客にも人気のスポットです。市場内には海鮮丼や寿司が味わえる食堂も多数あり、とれたての新鮮な魚介をその場で楽しめます。お土産探しや朝食にもおすすめです。
羊ヶ丘展望台(ひつじがおかてんぼうだい)
札幌市南東部の高台に位置し、広大な牧草地に羊が草を食むのどかな風景が広がる観光スポットです。札幌市街や石狩平野を一望できる絶景ポイントとして知られています。特に有名なのは、クラーク博士の「Boys, be ambitious.(少年よ、大志を抱け)」の像です。像と同じポーズで写真を撮るのが定番となっています。展望台の売店では、羊乳ソフトクリームやジンギスカンなど、北海道ならではのグルメも楽しめます。敷地内には札幌雪まつり資料館や結婚式場などもあります。
札幌ファクトリー(さっぽろふぁくとりー)
サッポロビール札幌工場の跡地を再開発して造られた、ショッピングモールとアトリウム、映画館、ホテルなどを併設する複合商業施設です。赤レンガ造りの建物が特徴的で、開拓時代の面影を残しています。特に、天井が高く開放感あふれるアトリウムは、冬でも温かく過ごせる空間で、クリスマス時期には巨大なツリーが飾られ、幻想的な雰囲気に包まれます。ショッピングや食事だけでなく、様々なイベントも開催されており、雨の日でも楽しめるスポットとして人気です。
札幌JRタワー展望室T38
JR札幌駅直結のJRタワー最上階(38階)、地上160mに位置する展望室です。東西南北360度のパノラマビューが魅力で、札幌市街はもちろん、晴れた日には遠く日本海や石狩平野、夕張岳など、北海道の雄大な自然を一望できます。特に、夜景は札幌の街の明かりが広がり、ロマンチックな雰囲気です。夜景とともにカクテルを楽しめる「SKY J」というバーも併設されており、デートスポットとしても人気です。札幌駅直結なのでアクセスも抜群です。

藻岩山(もいわやま)
札幌市の中心部から比較的近くに位置する、標高531mの山です。山頂からは札幌市街の素晴らしい眺望が広がり、特に夜景は函館山、小樽の天狗山とともに「北海道三大夜景」の一つに数えられ、日本新三大夜景にも認定されています。山頂へは、山麓駅からロープウェイとミニケーブルカー「もーりすカー」を乗り継いで気軽にアクセスできます。山頂には展望台のほか、レストランやカフェ、恋人の聖地と呼ばれる「幸せの鐘」などがあり、札幌の景色を心ゆくまで堪能できる人気スポットです。
いかがでしたでしょうか?ぜひ紹介した定番スポットに加えて、少し違った視点からの札幌観光も楽しんでみてください。ありがとうございました。