大雨の登別温泉を観光!最長片道切符の旅

国内旅行

北海道の南西部、登別市に位置する登別温泉は、その豊富な湯量と多様な泉質で知られる日本有数の温泉地です。硫黄の香りが漂う「地獄谷」の迫力ある景観から、豊かな自然の中で動物たちと触れ合える施設、そして北海道ならではの新鮮な海の幸や山の幸を堪能できるグルメまで様々なものを楽しむことができます。この記事では、最長片道切符の旅の道中で登別温泉に立ち寄った旅行記を交えながら登別温泉の楽しみ方を紹介します。

大雨の中の登別観光

私が最長片道切符の旅の中で訪問した際は非常に激しい雨が降り注ぐ中の観光となりました。カバンの中のものは全て濡れてしまいました。切符は防水ファイルを被せていたので大丈夫でした。

登別駅に到着

前日は札幌にいたのですが、千歳線・室蘭本線で登別駅へ向かいます。
登別の駅前には鬼がいました。

登別駅からバスに乗車

登別駅から登別温泉へは少し距離があるので、バスに乗って移動します。片道320円、20分くらいの乗車です。昼間は1時間に3本くらい出ています。「登別温泉」のバス停の利用が一般的かと思われますが、地獄谷などの景勝地は一つ先の「第一滝本館前」というバス停の方が近いです。ただし「足湯入口」駅まで行くバス以外は通過してしまうので、時刻表などでよく確認しましょう。

間欠泉をみる

第一滝本館の前には間欠泉と呼ばれ、定期的に温泉が噴出する場所がありました。泉源公園という公園の中にあります。少し待っていると噴出が始まりました。約3時間おきに噴き出すそうです。

登別地獄谷

第一滝本館前のバス停から登別地獄谷まで約10分くらい歩きます。この時点で大雨が降っていたのでカッパを着用します。

地獄谷付近は硫黄の香りがすごく強いです。この谷の中に遊歩道が整備されているので、地獄谷の中を歩いていきます。あちこちに「危険」という文字や「三途の川」といった表示があります。地獄谷に関する説明は下の項目をご覧ください。

登別パークサービスセンター

登別に関する情報の紹介などを行っている建物です。さすがに雨がきつかったのでここで雨宿りをしました。他の観光客の方々もみなここに集まって雨が収まるのを待ちます。

大湯沼川天然足湯

川にも温泉が流れているようです。少し坂道を登ったところに、幅1mくらいの川のへりに座る場所を設けただけの足湯があります。ここも見に行こうと思い歩きましたが、雨のせいで激流になっており、足を入れると体ごと流されそうな感じだったのでやむなく諦めました。

温泉街で昼食を食べる

登別の温泉街には多くの飲食店があります。私はこの日は温泉市場というお店で食べることにしました。店内にはカニがいるなど、内装にも凝っているらしいお店でした。北海道にきてから何度か生の海鮮を食べているので、この日は焼き塩サバ定食を注文しました。1080円。

夢元さぎり湯で温泉に入る

徒歩の疲れをとるために現地の温泉銭湯に行きました。日帰り入浴自体は付近のホテルでも実施されていますが、あまりリーズナブルではなかったのでこの施設に行くことにしました。入浴料は490円です。

源泉掛け流しで、硫黄泉とミョウバン泉の二種類のお湯を楽しむことができます

バスで登別駅へ戻る

観光が終わり、登別駅まで戻ります。登別駅から次は室蘭に向かいます。

登別温泉の泉質と地質学的特徴

登別温泉が「温泉のデパート」と称される所以は、その泉質の多様性にあります。一箇所でこれほど多くの種類の温泉が湧き出す場所は世界的にも稀であり、その背景には登別温泉特有の地質学的構造が深く関わっています。登別温泉には、主に以下の9種類の泉質が存在すると言われています。

硫黄泉: 登別温泉の代名詞ともいえる泉質で、地獄谷から噴出する源泉の多くがこれに該当します。特有の硫黄の香りが特徴で、皮膚病や慢性関節リウマチなどに効果があるとされています。殺菌作用が高く、肌の古い角質を取り除くピーリング効果も期待できます。

酸性鉄泉: 鉄分を豊富に含み、酸化すると赤褐色に変色します。貧血や慢性皮膚病に良いとされ、独特の温まり方をするのが特徴です。

ミョウバン泉: アルミニウム硫酸塩を主成分とし、収斂作用や殺菌作用があるとされています。皮膚炎や水虫などに効果が期待できます。

緑礬泉: 硫酸第一鉄を主成分とし、明礬泉と同様に収斂作用が期待されます。湯の色が緑色を帯びることがあり、独特の泉質です。

食塩泉: 塩分を多く含み、保温効果が高いのが特徴です。神経痛や冷え性、皮膚病などに良いとされています。入浴後も体が冷めにくいことから、「熱の湯」とも呼ばれます。

芒硝泉: 硫酸ナトリウムを主成分とし、動脈硬化や高血圧症に効果があるとされています。血行促進効果も期待でき、体の内側から温まります。

重曹泉: 炭酸水素ナトリウムを主成分とし、肌を滑らかにする美肌効果が期待できます。「美人の湯」とも呼ばれ、入浴後は肌がツルツルになると言われています。

ラジウム泉: 微量の放射能を含む温泉で、細胞を活性化させ、新陳代謝を促進する効果があるとされています。免疫力の向上や神経痛に良いとされますが、その効果は科学的に証明されているわけではありません。

単純泉: 温泉成分が比較的薄く、刺激が少ないため、高齢者や病後の回復期にも適しています。湯あたりしにくく、長時間の入浴にも向いています。

これらの多様な泉質は、登別温泉の地下に広がる複雑な熱水系に由来します。地獄谷の周辺では、火山活動によって熱せられた地下水が地表に噴出し、それぞれの場所で異なる鉱物と反応することで、様々な泉質を持つ温泉が生まれるのです。この地質学的特徴こそが、登別温泉を温泉愛好家にとって魅力的な目的地たらしめている根源と言えるでしょう。各旅館やホテルによって引いている源泉が異なるため、宿泊施設を選ぶ際には泉質に着目するのも登別温泉の楽しみ方の一つです。

登別温泉の歴史と文化:アイヌの文化から観光地としての発展まで

登別温泉の歴史は古く、その始まりは江戸時代にまで遡ります。この地はもともとアイヌの人々が利用していた湯治場であり、彼らはこの地の温泉を傷の治療や病気の回復に利用していました。アイヌ語で「ヌプルペツ」(色の濃い川)と呼ばれていた地名は、温泉成分によって変色する川の色に由来すると言われています。

本格的に温泉地として開発が進んだのは明治時代以降です。特に明治中期には、温泉の効能が広く知られるようになり、多くの人々が湯治に訪れるようになりました。大正時代に入ると、鉄道の開通によりアクセスが格段に向上し、登別温泉は全国的に有名な観光地へと発展を遂げます。この時期には、多くの温泉旅館が建設され、それぞれの旅館が趣向を凝らした浴場を提供することで、温泉文化が花開きました。

昭和に入ると、登別温泉は国際的な観光地としても注目されるようになります。特に、外国人観光客を意識した施設やサービスが充実し、日本を代表する温泉リゾートとしての地位を確立しました。近年では、バリアフリー対応の施設や多言語対応のサービスも増え、より多くの人々が快適に過ごせるよう配慮されています。

登別温泉の歴史は、単なる温泉地の発展だけでなく、アイヌ文化との関わりや、日本の観光産業の変遷を映し出す鏡とも言えます。現在でも、温泉街の随所には歴史を感じさせる建造物や、アイヌ文化に触れることができる施設が点在しており、温泉に浸かるだけでなく、その歴史や文化に思いを馳せることも登別温泉の楽しみ方の一つです。

登別温泉周辺の観光スポット

登別温泉の魅力は、温泉そのものに留まりません。周辺には、豊かな自然が生み出した壮大な景観や、多種多様な動物たちと触れ合える施設があり、温泉と合わせて滞在をより充実させることができます。

地獄谷

登別温泉を語る上で欠かせないのが「地獄谷」です。日和山の噴火活動によって生まれた爆裂火口跡で、温泉街のすぐ近くに位置しています。谷底からは硫黄を含む噴煙が立ち上り、至る所で白い湯気が噴き出し、ボコボコと音を立てながら熱い泥が湧き出しています。温泉の源泉が湧き出す様子を間近で見学できる貴重な場所です。遊歩道が整備されており、間近でその迫力を体感できます。特に冬季には、雪景色と湯煙が幻想的なコントラストを生み出し、息をのむような美しさを見せます。夜間にはライトアップが行われ、昼間とは異なる幻想的な雰囲気を楽しむことができます。地獄谷から流れ出る温泉は「大湯沼」へと続いており、ここでも温泉の熱気を感じることができます。

大湯沼と自然の足湯

地獄谷のすぐ奥に位置する「大湯沼」は、周囲約1kmのひょうたん型の湯沼です。底部から約130度の硫黄泉が湧き出ており、湯沼の表面温度も40度から50度と高温を保っています。かつてはここから湧き出る温泉を生活用水として利用していた歴史もあります。大湯沼の周りには遊歩道が整備されています。特に、大湯沼から流れ出す「大湯沼川天然足湯」は、自然の中で足湯を楽しめる人気のスポットです。森林浴をしながら、温かい湯に足を浸すことで、旅の疲れを癒すことができます。この足湯は季節を問わず利用でき、冬には雪景色の中で温かい足湯を楽しむという貴重な体験ができます。

登別クマ牧場

登別温泉街からロープウェイで約7分、標高550mの四方嶺山頂に位置するのが「登別クマ牧場」です。ここでは、北海道に生息するエゾヒグマを間近で観察することができます。約100頭のヒグマが放し飼いにされており、クマが間近までやってくる「人間オリ」や、クマに餌を与えることができる「餌やり体験」など、様々な方法でヒグマと触れ合うことができます。愛らしい子グマから迫力満点の大人のヒグマまで、様々な表情を見せるヒグマたちに、訪れる人々は魅了されます。また、アイヌ文化に触れることができる「ユーカラの里」や、ヒグマの生態について学べる「ヒグマ博物館」も併設されており、学びとエンターテイメントが融合した施設と言えるでしょう。

のぼりべつ伊達時代村

登別温泉から少し足を延ばすと、江戸時代の文化を体験できるテーマパーク「のぼりべつ伊達時代村」があります。ここでは、江戸時代の街並みが忠実に再現され、忍者や花魁、武士といったキャラクターが村の中を闊歩しています。忍者ショーや花魁道中といったエンターテイメント性の高いショーが毎日開催されており、訪れる人々を魅了します。また、手裏剣投げ体験や弓矢体験、侍体験など、参加型のイベントも充実しており、大人から子供まで楽しめる施設です。歴史を学びながら、まるでタイムスリップしたかのような非日常感を味わうことができます。

登別マリンパークニクス

デンマークの古城をモチーフにした水族館「登別マリンパークニクス」も登別温泉周辺の人気スポットです。約400種、2万点の海洋生物が展示されており、特に高さ8mの巨大な水槽「ニクス城」は圧巻です。イワシの群れが渦を巻く「イワシの銀河」や、カラフルな熱帯魚が泳ぐサンゴ礁の水槽など、見どころが満載です。アシカショーやイルカショー、ペンギンのパレードなど、動物たちのパフォーマンスも人気を集めています。海の生き物たちと触れ合えるタッチプールもあり、子供連れの家族に特におすすめの施設です。

登別温泉のグルメ

登別温泉を訪れたら、温泉だけでなく、北海道ならではの豊かな食文化も堪能したいものです。登別温泉周辺では、新鮮な海の幸と山の幸を存分に味わうことができます。

新鮮な海の幸:活きの良い魚介類を堪能

登別温泉は、太平洋に面した豊かな漁場に近いことから、新鮮な魚介類を味わうことができます。特に、噴火湾で獲れるホタテやウニ、カニなどは絶品です。温泉街には、海鮮丼や握り寿司、炉端焼きなどを提供する飲食店が多数あります。獲れたての新鮮な魚介類は、素材本来の味が際立ち、贅沢な味わいです。また、旬の魚介を使った郷土料理も楽しむことができます。

地元の山の幸:豊かな大地の恵み

北海道の広大な大地は、様々な農産物や畜産物を育みます。登別温泉周辺でも、地元の食材を使った料理を楽しむことができます。例えば、北海道産のジャガイモやトウモロコシ、アスパラガスなどの野菜は、その甘みとみずみずしさが特徴です。また、登別市は酪農も盛んで、新鮮な牛乳や乳製品を使ったスイーツも人気です。さらに、北海道ならではのジンギスカンや、地元で育てられたブランド豚を使った料理などもおすすめです。温泉街の飲食店では、これらの地元の食材を活かした創作料理や郷土料理が提供されており、食を通じて北海道の豊かな自然を感じることができます。

温泉街の甘味:旅の疲れを癒すデザート

温泉街には、旅の疲れを癒してくれる甘味処も充実しています。温泉まんじゅうや団子といった定番の和菓子から、北海道産の牛乳を使ったソフトクリーム、プリンなど、様々なデザートを楽しむことができます。特に、登別温泉ならではの「鬼まんじゅう」は、地獄谷の鬼をモチーフにしたユニークな見た目と優しい甘さが特徴で、お土産にも最適です。温泉に浸かった後に、温かいお茶と一緒に甘味を味わう時間は、至福のひとときとなるでしょう。

登別温泉へのアクセスと宿泊施設

登別温泉へのアクセスは、新千歳空港から直行バスが運行されており、比較的容易です。また、JR札幌駅からも特急列車とバスを乗り継ぐことでアクセス可能です。自動車を利用する場合は、道央自動車道の登別東インターチェンジから約10分と、非常にアクセスしやすい立地です。

登別温泉には、大小様々な宿泊施設が存在します。老舗の温泉旅館から、モダンなホテル、手頃な価格で利用できる民宿まで、旅行者の予算や好みに合わせて選ぶことができます。多くの宿泊施設が自家源泉を保有しており、それぞれ異なる泉質の温泉を楽しむことができます。露天風呂付きの客室や、趣向を凝らした貸切風呂を提供する施設も多く、プライベートな空間で温泉を満喫したい方にもおすすめです。また、食事についても、バイキング形式から部屋食、会席料理まで、様々なスタイルが用意されており、北海道の旬の食材を活かした料理を堪能することができます。

登別温泉観光における注意点と持続可能性への取り組み

登別温泉を観光する際には、いくつかの注意点があります。地獄谷や大湯沼などの自然散策路は、足元が滑りやすい場所や傾斜のある場所も存在するため、歩きやすい靴を着用し、無理のない範囲で散策するようにしましょう。また、温泉の泉質によっては刺激が強いものもあるため、体調に合わせて入浴時間や回数を調整することが重要です。特に硫黄泉は金属類を変色させる可能性があるため、アクセサリーなどは外して入浴することをおすすめします。

近年、登別温泉では持続可能な観光への取り組みも積極的に行われています。温泉資源の保護や、地域の自然環境の保全、そして地域住民との共生を目指し、様々な活動が展開されています。例えば、温泉の熱を利用した地域暖房システムの導入や、再生可能エネルギーの活用、そして観光客に対する環境教育などが挙げられます。観光客側も、ゴミの減量や公共交通機関の利用など、環境に配慮した行動を心がけることで、登別温泉の豊かな自然と温泉資源を次世代に繋いでいくことに貢献できます。

まとめ

登別温泉は、その多様な泉質、歴史的な背景、そして豊かな自然と文化が融合した魅力的な温泉地です。硫黄の香る地獄谷の壮大な景観に圧倒され、肌に優しい温泉で心身ともに癒され、北海道の豊かな恵みを味わう。そして、クマ牧場や伊達時代村、マリンパークニクスといった個性豊かな観光スポットで、感動と興奮を味わうことができます。ぜひみなさんも訪れてみてください。ありがとうございました。

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