こんにちは。日本を55日間かけて縦断する東大生です。今回は秋田県大館市にある長走風穴(読み方:ながばしりふうけつ)を観光しました。長走風穴は、夏でもひんやりとした冷気が吹き出す、まさに天然のクーラーです。国の天然記念物にも指定されており、その特異な自然現象と豊かな生態系は、訪れる人々を魅了し続けています。
長走風穴とは?大館の観光スポット
長走風穴は、約1万年前の氷期に形成されたとされる岩石の隙間から、常に冷たい風が吹き出す珍しい場所です。外気温が30℃を超える真夏日でも、風穴周辺の気温は10℃前後と非常に涼しく、真夏でも上着が必要になるほどです。

長走風穴の魅力
1. 天然の涼しさ体験
長走風穴の最大の魅力は、なんといってもその圧倒的な涼しさです。特に夏場は、避暑地として多くの観光客が訪れ、ひんやりとした空気の中でリフレッシュできます。風穴に近づくにつれて気温が下がっていくのが体感でき、自然の神秘を感じられるでしょう。
2. 希少な高山植物の宝庫
冷涼な気候が保たれる長走風穴周辺には、本州では標高の高い山でしか見られない高山植物が自生しています。例えば、ヒメイズイやホソバノキソチドリといった貴重な植物を観察でき、植物愛好家にとっても魅力的なスポットです。
3. 自然散策とハイキング
風穴周辺には、整備された遊歩道があります。豊かな自然の中を散策したり、ハイキングを楽しんだりするのに最適です。森林浴をしながら、珍しい植物や昆虫を観察するのもおすすめです。鳥のさえずりを聞きながら、心身ともにリラックスできるでしょう。
実際に長走風穴に行ってみた
長走風穴館
長走風穴館は、秋田県大館市にあるエコミュージアムで、国の天然記念物「長走風穴高山植物群落」に隣接しています。風穴の仕組みや歴史、冷気を活用した貯蔵方法などをパネルや映像で紹介。実際の風穴倉庫に入り、天然の冷気を体験することも可能です。夏場は風穴の冷気で館内を冷房しており、高山植物の展示も楽しめます。
長走風穴館
営業時間:9時〜16時、月曜日定休、12月〜3月は冬季休館
入場料:無料
風穴をみてみる
長走風穴館の周辺にはたくさんの風穴があり、昔の人がその穴を天然の冷蔵庫等として活用したあとがあります。構造物を作って効率的に風穴の冷風を活用しようとしたわけですね。
長走風穴冷蔵倉庫ー天然冷房ー
現在でも風穴の涼しさを感じられる施設が備えられています。この天然冷房では冷たい空気を逃がさないようになっており、外気が24.5度のこの日においても、内部の温度計は4.5度を示しています。大変寒いので、長時間いるのは大変ですが、自然の不思議なエネルギーを感じることができます。
石碑
この長走風穴を研究した功労者と思われる方の石碑がありました。昔は「バケモノやしき」と呼ばれていたようで、そのような場所を研究しようと思うのは命懸けのことだったのでしょう。

長走風穴について
長走風穴の仕組み
長走風穴館には風穴の仕組みについて色々説明されていましたが、その仕組みについてはまだ完全には証明されていないそうです。
有力な説は大館市出身の荒谷武三郎氏が1920年に提唱した「空気対流説」と言われています。長走風穴周辺の地下に氷があるために空気が冷やされて出ているという説です。空気が出ているので、それを補完するために標高の高い場所では空気が吸い込まれているとされます。ちなみに冬は逆に標高の低い場所で空気を吸い込んで、標高の高い場所で暖かい空気として漏れ出ているらしいです。
長走風穴のかつて活用方法
電気で動く冷蔵庫ができる前は、自然の冷風は非常に重要だったようです。この長走風穴では主にりんごなどの果物をはじめ、お酒や魚など様々なものを保管していたと言われています。一般的には風穴では蚕などを保管するそうですが、保管物においてもこの長走風穴は特殊だったようですね。
長走風穴へのアクセス
長走風穴は、大館市内から車で約20分ほどの場所にあります。公共交通機関を利用する場合は、JR大館駅からバスが運行しています。大館駅前から秋北バスにのって約20分、片道620円です。無料駐車場も完備されています。
なお、徒歩でのアクセスであればJR奥羽本線の陣場駅が最も近く、徒歩30分くらいの距離です。帰りはこの方法を利用しましたが、歩道が狭い割には自動車が高速で通過し危ない上、虫が垂れ下がっている場所も多かったので、あまりおすすめできません。
訪問時の注意点
服装: 夏場でも風穴周辺は非常に涼しいため、薄手の上着などを用意することをおすすめします。薄着だと不可能というわけではありませんが、ある程度我慢しなけらばならないくらいの場所も存在します。
足元: 遊歩道は整備されていますが、歩きやすい靴で行くことを推奨します。山道をのぼる形であり、地面は土です。雨が降ったりしたあとは地面がぬかるみになっていることがあります。
植物保護: 自生している植物は貴重なものばかりです。採取したり、傷つけたりしないようにしましょう。
まとめ
長走風穴は、天然のクーラーとしてだけでなく、貴重な生態系を育む場所としても、その価値は計り知れません。人もあまり多くないので穴場スポットと言えます。秋田県大館市を訪れる際には、ぜひこの神秘的な自然の恵みを体験してみてください。
