みなさんこんにちは。私は55日かけて鉄道で日本縦断をする東大生です。
この記事では、最長片道切符の旅で訪れた函館観光の様子をご紹介します。2024年夏の函館山夜景、五稜郭、そして活気ある朝市など、人気観光地の魅力と、実際に感じたオーバーツーリズムの現状について詳しく綴りました。函館観光を計画中の方必見です。
最長片道切符の旅
函館観光のスタート:五稜郭駅で下車
函館本線五稜郭駅で下車をして五稜郭へ向かいます。五稜郭駅というからには五稜郭もすぐそこにあると勘違いしていました。実際は住宅地の中を30分ほど歩きます。バスに乗るのが一般的とのことでしたが、まち歩き自体は好きなので歩くことにしました。なおバスに乗る場合は78系統で15分ほど、料金は280円とのことです。
五稜郭を観光
五稜郭は、江戸時代末期に蝦夷地(現在の北海道函館市)に築かれた、日本初の西洋式城郭です。1857年から7年かけて完成しました。星形の独特な形状は、フランスの築城術を参考に設計され、死角をなくし効率的な防御を可能にする「稜堡式」という特徴を持っています。これは、大砲など火器の発達に対応するための技術でした。幕末の箱館戦争では、旧幕府軍の榎本武揚らが立てこもり、新政府軍との激しい戦いの舞台となりました。現在は特別史跡として整備され、公園として市民や観光客に親しまれています。五稜郭の中は無料で入ることができるので入ってみます。

函館のB級グルメ:ハセガワストアで焼き鳥弁当
函館のまちを歩いていると、焼き鳥の匂いがしてきます。その匂いの元を辿ってみると、ハセガワストアというお店に辿り着きます。基本的にはセイコーマートの姉妹店でコンビニみたいな感じになっていますが、その一角で焼き鳥弁当というものを売っています。焼き鳥とは言いつつも、実際には豚でできています。これはかつて北海道では鶏肉よりも豚肉の方が安く仕入れることができたからだそうです。700円くらいで買うことができます。
ハセガワストアは函館周辺にしかないのでぜひ函館に行った際は食べてみてください。

函館市電に乗って函館中心部へ
函館には路面電車が走っています。五稜郭公園の近くに停留所があるので、函館駅前まで乗車します。ちょうど2024年は名探偵コナンの映画の舞台が函館だったらしく、函館市電にもコナンラッピングがやってきました。
ホテルに到着
函館には快活CLUBが存在しなかったので、この日はカプセルホテルに宿泊することにしました。カプセルホテルで一泊5000円というのはなかなか物価高を感じますが、その分時間を気にせず滞在したり荷物を置いて行ったりできるので便利です。このカプセルホテルの食堂で先ほどのハセガワストアの焼き鳥弁当を食べました。不思議なことにシャンプーとリンスが大量に並べられているカプセルホテルでした。なお本来であれば、函館の高級なホテルや朝ごはんが美味しいホテルに泊まるのも魅力的です。

函館山へ向かう
日が暮れてきたので函館山へ向かいます。函館山といえば夜景で有名ですね。函館駅からバスで函館山へ向かうことができ、片道700円とアクセス方法の中では一番安いのですが、どうやら大人気らしくその日のバスには乗車することができませんでした。函館山ロープウェイに乗って山に登ることにしようと思うので、ロープウェイ乗り場まで2kmくらい歩きます。ロープウェイは往復1800円もするので、路面電車に乗らずに歩きました。
函館山ロープウェイの乗り場に着くと、信じられないくらいの大混雑です。結局乗車まで2時間くらい列に並びました。スマホを持っていたので記事を執筆しながら待ちます。

函館山観光とオーバーツーリズム
2時間くらい並ぶ時点でいやな予感がしましたが、山を登ると展望台には人が満タンでした。オーバーツーリズムを肌で感じます。ところにより身動きがとれないほどの混雑で、景色を眺めるのが大変なくらいでした。しかしながらやはり函館の夜景はなかなか素晴らしいです。巨大な陸繋砂州(トンボロ)の形がよく見えます。

ちなみに函館市街の方を眺める人はすごく多いのですが、海側(本州側)を眺める人はあまりいないようで、とても空いていました。しかし、海側も魅力的です。派手さはないのですが、海に浮かぶイカ釣り漁船の光が目立つ景色は、他の地域の夜景ではなかなかみられるものではありません。
下山までの大行列
ある程度夜景を見終わったので山をおりようと思ったら、下山のロープウェイも果てしない大行列です。結局下山までまた2時間待ちました。

函館の朝市 駅二市場
次の日の朝になりました。函館といえば駅前の函館朝市駅二市場です。活け造り状態で食べられるイカなどが有名です。市場内にはイカの釣り堀などもありました。
しかし、海鮮を食べようと思うとやはり2000〜3000円くらいかかってしまいます。朝からその額を使うのには財布の負担が重すぎるので諦めようと思いましたが、朝市食堂二番館というお店で550円の激安イカ丼が売っていたのでそれを食べました。どこのイカか分かりませんが、函館でイカを食べたという事実があればOKです。

新函館北斗駅へ
函館駅は最長片道切符のルートに含まれていません。本来のルートに戻るために新函館北斗駅へ向かいます。新函館北斗駅で北海道新幹線に乗り換えて、ついに本州へ上陸します。
その他の函館のおすすめ観光地
金森赤レンガ倉庫
函館港に面して建ち並ぶ金森赤レンガ倉庫は、明治時代に創業された営業倉庫をリノベーションした、函館観光には外せない複合商業施設です。レトロな雰囲気の倉庫群には、お土産店、レストラン、カフェなどが軒を連ね、ショッピングや食事を楽しむことができます。夜にはライトアップされ、水面に映る美しい光景は、函館の夜景とはまた違った幻想的な雰囲気を醸し出し、ロマンチックな散策に最適です。港町函館の歴史を感じながら、お気に入りの一品を探したり、潮風を感じながらカフェでくつろいだりと、思い思いの時間を過ごせる函館観光の人気スポットです。
トラピスチヌ修道院
函館観光の穴場として知られるトラピスチヌ修道院は、明治時代にフランスから来日した8人の修道女によって設立された、日本初の女子修道院です。厳格な規律のもとで祈り、労働に励む修道女たちの生活を垣間見ることはできませんが、美しいレンガ造りの聖堂や資料館、売店は一般公開されており、静謐な雰囲気に包まれています。売店では、修道女が手作りしたマダレナやロザリオ、クッキーなどが販売されており、函館土産としても人気です。美しい庭園を散策しながら、日々の喧騒を忘れ、心を落ち着かせる函館観光のひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
旧函館区公会堂
元町公園の一角に佇む旧函館区公会堂は、明治後期に建てられた左右対称の美しいコロニアル様式の洋風建築で、国の重要文化財に指定されています。パステルブルーとイエローのコントラストが特徴的な外観は、函館観光の写真スポットとしても人気です。内部は、豪華な調度品が配された大広間や、皇太子(後の大正天皇)が宿泊した貴賓室などが公開されており、当時の華やかな社交場の雰囲気を体験できます。レトロなドレスやタキシードを借りて、記念撮影ができる「ハイカラ衣装館」も併設されており、函館旅行の思い出作りに最適です。
函館市旧イギリス領事館
函館市旧イギリス領事館は、開港期に設置された外国公館の一つで、英国風の美しい庭園が特徴です。幕末から昭和初期にかけて実際に領事館として使われていた建物は、現在は開港記念館として一般公開されており、当時の領事執務室や住居が再現されています。館内にはカフェ「旧函館区公会堂」も併設されており、アフタヌーンティーを楽しむこともできます。異国情緒あふれる空間で、函館の歴史に思いを馳せながら、ゆったりとした時間を過ごすことができる函館観光のおすすめスポットです。
立待岬
函館山の南東に位置する立待岬は、津軽海峡を一望できる景勝地です。切り立った断崖絶壁と、その先に広がる雄大な海の景色は、函館観光の中でも特に印象的な絶景として知られています。天気の良い日には、対岸の青森県下北半島まで見渡すことができ、その眺望はまさに圧巻です。石川啄木の歌碑や、アイヌ民族の供養塔なども点在し、歴史と自然が調和した空間となっています。夕暮れ時には、海に沈む夕日が織りなす幻想的な景色も魅力で、函館旅行の締めくくりに訪れたい感動的なスポットです。
函館市熱帯植物園
函館市熱帯植物園は、温泉熱を利用して様々な熱帯植物を栽培しているユニークな植物園です。約300種3,000株もの珍しい植物が年間を通して鑑賞でき、雪深い冬の函館観光でも温かい空間で南国の雰囲気を味わえます。特に冬期間(12月~5月上旬)には、約90匹のニホンザルが露天風呂に入る「サル山温泉」が開催され、愛らしいサルたちの姿に癒されます。家族連れやカップルに人気の函館観光スポットで、植物や動物との触れ合いを通じて、心温まる体験ができるでしょう。
函館奉行所
五稜郭公園内にある函館奉行所は、江戸時代末期に蝦夷地を管轄するために設置された役所です。戊辰戦争で焼失しましたが、2010年に当時の史料に基づき忠実に復元されました。白壁と瓦屋根の美しい木造建築は、広大な五稜郭公園の中でもひときわ存在感を放っています。館内では、奉行所の歴史や当時の暮らしぶりを、映像や展示で学ぶことができます。五稜郭を訪れた際には、ぜひ函館奉行所にも足を延ばし、日本の近代史が動いた舞台の一つを体感してください。函館の歴史観光に興味がある方には特におすすめです。
大沼国定公園
函館市から少し足を延ばした場所にある大沼国定公園は、美しい湖沼と活火山である駒ヶ岳が織りなす雄大な自然が魅力の国立公園です。大小126もの島々が浮かぶ大沼・小沼・蓴菜沼(じゅんさいぬま)を遊覧船で巡ったり、サイクリングやカヌーを楽しんだり、四季折々の美しい景色を満喫できます。特に秋の紅葉や冬の結氷した湖面は息をのむ美しさです。函館からの日帰り観光に最適で、都会の喧騒を離れてリフレッシュしたい方におすすめです。新鮮なワカサギ料理や、大沼だんごなどのグルメも楽しめます。
函館ハリストス正教会
元町地区に建つ函館ハリストス正教会は、日本で最初に設立された正教会で、ロシアビザンチン様式の美しい聖堂が特徴です。白い壁と緑の屋根、そして特徴的な鐘楼は、函館の街並みの中でもひときわ目を引く存在で、「ガンガン寺」の愛称で市民に親しまれています。国の重要文化財にも指定されており、内部の見学も可能で、厳かな雰囲気の中でイコンや装飾品を見ることができます。教会の鐘の音は「日本の音風景百選」にも選ばれており、函館の異国情緒を強く感じられる函館観光のシンボルの一つです。
函館市青函連絡船記念館 摩周丸
JR函館駅すぐそばに係留されている摩周丸は、かつて本州と北海道を結んでいた青函連絡船の一つで、現在は記念館として一般公開されています。船内には、当時の客室や車両甲板、操舵室などが保存・再現されており、青函連絡船が果たした歴史的な役割や、船員の暮らしぶりを学ぶことができます。実際に乗船することで、当時の旅の雰囲気を肌で感じられ、特に鉄道ファンや歴史好きにはたまらない函館観光スポットです。函館港の景色を船上から眺めることもでき、ノスタルジックな気分に浸れるでしょう。