日本の最北端に位置する稚内は、雄大な自然と独特の文化が魅力の観光地です。最北端の碑が立つ宗谷岬、利尻・礼文の島々を望むノシャップ岬、そして新鮮な海の幸など、見どころ満載です。なお正確に言うと日本の最北端は北方領土の択捉島に位置する蘂取(しべとろ)村ですが、現在はロシアにより実効支配されており、訪問は難しいです。
この記事では、日本縦断旅行の出発点として稚内を訪れた現役東大生ライターが、稚内観光の魅力を余すことなくお伝えするため、おすすめスポット10選と実際に旅した際のプランをご紹介します。
稚内観光の魅力
稚内観光の魅力は、なんといってもその雄大な自然と最北端というロケーションです。宗谷岬から望む景色は、まさに絶景の一言。晴れた日には、遠くサハリンの島影を望むこともできます。また宗谷丘陵やノシャップ岬など、手つかずの自然が残されており、四季折々の美しい景色を楽しめます。
さらに、稚内は、カニやウニなど、新鮮な海の幸の宝庫。市内の飲食店では、これらの海の幸をふんだんに使った料理を味わえます。とても美味しい上に都心部で食べるよりもコスパが良いです。稚内は、ロシアとの交易の歴史があり、独特の文化が育まれています。稚内市北方記念館・開基百年記念塔などでは、その歴史に触れることができます。

〜最長片道切符の旅1日目〜 旅の記録in稚内
前日に札幌駅から高速バスに乗車(北都交通 0111便)
大通バスセンター23:00発、稚内駅前ターミナル05:25着【片道6030円】
以前稚内を訪れた際に宗谷岬で宿泊し、観光もしたので今回は朝の数時間だけ駅周辺を散策しました。先に紹介した観光スポットの中から駅に近いものを選び観光することにしました。なお宗谷岬周辺と稚内駅はかなり離れており、バスで1時間近くかかるので、みなさんが訪れる際はスケジュールに注意しましょう。
05:20 稚内駅前ターミナル到着
真夏にもかかわらず、到着時の気温は21.2℃。半袖だと少し肌寒いくらいの気温です。北海道は日本の中でも東の方にあり、日の出の時間がとても早いです。朝5時半頃にもかかわらず周囲は昼間のような明るさです。

05:30 徒歩
これくらい涼しい日は歩き回るとちょうど良い気分になります。
05:40 稚内港北防波堤ドーム
稚内市のシンボルとも言うべきこのドーム。稚内はかつて樺太に向かう船の玄関口でした。この重要な港湾施設を冬季の高波から守るため、またかつてこの桟橋の手前まで伸びていた宗谷本線の仮乗降場「稚内桟橋駅」へ乗り換えるための通路としても使用されました。現在も防波堤としての役割を果たしているそうです。稚内は強風の日が年間約130日もあるそうですね。とても巨大な構造物で圧巻です。(ちなみに心霊スポットとしても有名だそうです。)
ドームの手前にはかつて鉄道連絡船が走っていた頃の宗谷丸にあった号鐘の模造がおいてありましたので鳴らしました。
06:10 徒歩
06:20 セイコーマート稚内駅店でカツゲンとうどんを買う
北海道においては他のいかなるコンビニチェーンもセイコーマートには勝つことができません。なんと最果ての地稚内にもセイコーマートが存在します。北海道に行かれる際はぜひセイコーマートに行ってみてください。他ではみられない商品にであうことができます。
この日は北海道限定の飲み物「ソフトカツゲン(135円)」とセイコーマートPB品の「国産昆布だしうどん(146円)」を購入。

06:36 特急サロベツ旭川行を見送り、駅のベンチで朝ごはん
この日の特急サロベツ号はピンク色のはまなす編成でした。この特急に乗っても良いのですが、次の目的地豊富駅に着くのがあまりにも早すぎる上、特急料金をケチるためにこの次の普通列車に乗ることにします。
はまなす編成を眺めながら、先ほど買ったソフトカツゲンと国産昆布だしうどんを食べます。本来であれば絶品のうにやいくらを食べるのが最高なのですが、6時台に空いている店はないのでこれで十分です。カツゲンはヤクルトっぽい飲み物の味で美味しいです。カツゲンは元々昭和初期に帝国陸軍が給水状態の劣悪な中国中央部に駐屯している軍人向けの栄養飲料として、北海道から原液を送り、上海で製造されていたらしいです。「勝つ源」といった語呂合わせでスポーツチームや受験生に人気だそう。
昆布だしうどんもなかなかに美味しかったです。
07:00 駅のベンチでテレワーク
旅行でどんどん使っているとお金が足りなくなってしまうので、テレワークでアルバイトをしながら旅行をします。パソコンが案外重く、その後の足の疲労の原因になっているように思いますが、気にしない。いつもと違う環境で仕事をすると案外捗るものです。電車が来るまでは人もまばらなのでよく集中できます。
08:30 徒歩・野生のシカに遭遇
仕事を中断し、歩いて稚内公園を目指します。歩いている途中には鹿の大群が平然と幹線道路を横切ります。私は奈良県出身なので鹿は見慣れているのですが、北海道のエゾシカはツノがついており、かなり大きく感じます。小走りで通り抜けます。
09:00 稚内公園と樺太島民慰霊碑など
しばらく坂道を登って稚内公園につきました。この公園からは稚内市街が一望できます。
この公園には様々な石碑があります。その一つが「氷雪の門」です。かつて日本領だった樺太で亡くなった全ての日本人を慰霊するための塔で、1963年に建立されました。
九人の乙女の像は樺太真岡へのソ連軍の侵攻に際して電信局で残留した女性9人が青酸カリ等で自決したことをふまえ、英霊として顕彰しようと作られた像です。
他にも教學の碑などの樺太を思う碑文や、日本が南極観測に参加するにあたって稚内公園で樺太犬が犬ぞりの訓練をしたことをたたえる南極観測樺太犬訓練記念碑などがありました。
09:45 徒歩
10:15 稚内駅到着
電車の時間がギリギリになってしまったので焦りましたがなんとか下りは楽だったので間に合いました。

10:20 改札
いよいよ私の73700円の「最長片道切符」に最初のハンコが押される瞬間です。
稚内駅の駅員さんは「ちょっと待ってくださいね」と5ページにわたる私の切符を確認し、なんとか改札をクリアしました。
10:29 普通列車名寄行きに乗り、豊富駅へ向かう
国鉄型の「キハ54形気動車」に乗り広大な道北の大地を駆け抜けていきます。

稚内観光おすすめスポット10選
宗谷岬 (そうやみさき)
日本最北端の地として知られる宗谷岬は、稚内観光のハイライトです。北緯45度31分14秒に位置し、「日本最北端の地の碑」がシンボルとしてそびえ立ちます。晴れた日には、遠くサハリンの島影を望むことができ、地球の丸さを実感できる場所でもあります。周辺には、間宮林蔵の像や旧海軍望楼など、歴史を感じさせるモニュメントも点在しており、日本の北の果てに立った感動とともに、知的好奇心も満たされることでしょう。記念撮影はもちろん、ここでしか手に入らない最北端到達証明書も旅の思い出になります。
宗谷岬平和公園 (そうやみさきへいわこうえん)
宗谷岬の丘陵地に広がる宗谷岬平和公園は、最果ての地にふさわしい静寂と厳粛な雰囲気を持つ場所です。ここには、旧ソ連軍により撃墜された大韓航空機事件の犠牲者を追悼する「祈りの塔」や、第二次世界大戦で命を落とした樺太出身者の慰霊碑などが建立されています。平和への願いが込められた公園は、訪れる人々に静かに歴史を考えさせ、未来への希望を感じさせる空間となっています。広大な敷地内からは宗谷岬や宗谷海峡を一望でき、美しい景色とともに平和への思いを新たにする場所として、多くの人が訪れます。
宗谷丘陵 (そうやきゅうりょう)
宗谷岬の背後に広がる宗谷丘陵は、氷河時代の名残である周氷河地形が特徴的な景観を作り出しています。なだらかな起伏が続く丘には、無数の「周氷河構造」が残り、まるで地球のしわのように見えます。特に、牧草地が広がる中に点在する「宗谷岬ウィンドファーム」の巨大な風車群は、その壮大さで訪れる人々を圧倒します。放牧されている宗谷黒牛が草を食むのどかな風景と、地球の歴史を感じさせるユニークな地形が融合した、他では見られない景色が楽しめます。ドライブやサイクリングにも最適な場所で、展望台からは宗谷海峡の絶景も望めます。
稚内港北防波堤ドーム (わっかないこうきたぼうはていドーム)
稚内港のシンボルである北防波堤ドームは、まるで古代ローマの遺跡を思わせるような壮麗な建造物です。強風や高波から港を守るために建設されたこのドームは、半アーチ型で全長約427メートルにも及びます。独特の景観は、映画やドラマのロケ地としても度々使用され、その美しいフォルムは稚内を代表するアイコンとなっています。内部は散策路として整備されており、潮風を感じながら歴史的な建築美を間近で体験できます。夜にはライトアップされ、幻想的な雰囲気に包まれるため、日中とは異なる魅力も楽しめます。

稚内公園 (わっかないこうえん)
稚内市街地の高台に位置する稚内公園は、市内を一望できる絶好のロケーションにあります。園内には、樺太犬訓練所の指導者だった犬飼哲夫氏の功績を称える「樺太犬供養塔」や、氷雪の門、九人の乙女の碑など、北方領土や樺太にまつわる歴史的な慰霊碑やモニュメントが数多く建立されています。これらは、厳しい時代を生き抜いた人々の歴史や、故郷への思いを現代に伝える重要な役割を担っています。展望台からは、稚内市街地はもちろん、宗谷海峡や利尻富士、礼文島まで見渡すことができ、美しい景色と共に歴史に思いを馳せることができます。
開基百年記念塔・北方記念館 (かいきひゃくねんきねんとう・ほっぽうきねんかん)
稚内公園内にそびえる開基百年記念塔は、稚内市開基100年を記念して建てられたシンボルタワーです。高さ80メートルを超える塔の最上階には展望室があり、360度の大パノラマで稚内市街地、宗谷海峡、そして利尻富士や礼文島を望むことができます。特に夕暮れ時には、海に沈む夕日が織りなす絶景は息をのむ美しさです。塔の下部には北方記念館が併設されており、稚内の歴史や文化、北方領土問題に関する資料が展示されています。展望と学びを同時に楽しめる施設として、稚内観光では外せないスポットの一つです。
稚内ノシャップ寒流水族館 (わっかないノシャップかんりゅうすいぞくかん)
稚内市ノシャップ岬に位置する稚内ノシャップ寒流水族館は、日本最北端の水族館として知られています。北海道の冷たい海に生息する生物を中心に展示しており、アザラシやフウセンウオ、クリオネなど、ユニークな海の生き物たちを間近で観察することができます。特に、ゴマフアザラシの餌やりタイムは人気が高く、愛らしい仕草で来場者を楽しませてくれます。規模はそれほど大きくありませんが、地域の特色を活かした展示内容は見ごたえがあり、子供から大人まで楽しめる癒しの空間です。
ノシャップ岬 (ノシャップみさき)
稚内市街地から西へ数キロメートルに位置するノシャップ岬は、「宗谷岬」とは異なる趣を持つ景勝地です。アイヌ語で「岬の突端」を意味する名の通り、海岸線が突き出した地形が特徴です。岬のシンボルであるイルカのモニュメントが印象的で、晴れた日には利尻富士と礼文島を同時に望むことができます。夕暮れ時には、海に沈む夕日が辺り一面をオレンジ色に染め上げ、ロマンチックな雰囲気を醸し出します。周辺には水族館や青少年科学館もあり、観光施設が充実しているため、家族連れにも人気のスポットです。
稚内副港市場 (わっかないふくこういちば)
稚内駅から南東へ徒歩約10分ほどの距離にある稚内副港市場は、地元の新鮮な海産物や特産品を扱う複合商業施設です。市場内には、地元で水揚げされた新鮮な魚介類が並ぶ鮮魚店や、稚内産の昆布やホタテなどを加工した商品が手に入る土産物店があります。また、稚内産の食材を使った飲食店も充実しており、新鮮な海鮮丼やラーメンなどを味わうことができます。日帰り温泉施設「港のゆ」も併設されているため、長旅の疲れを癒すことも可能です。稚内の「食」と「お土産」を一度に楽しめるスポットとして、観光客だけでなく地元の人々にも親しまれています。
稚内駅周辺のモニュメント群
稚内駅を出てすぐの周辺には、稚内の歴史や最北端の地であることを示す様々なモニュメントが点在しています。例えば、駅構内や駅前広場には「日本最北端の駅」を示すオブジェや、緯度を示すモニュメントなどがあり、記念撮影スポットとして人気です。また、駅近くには「最北端の線路」の終着点を示す表示や、樺太連絡船の歴史を偲ばせる案内板なども見られます。これらのモニュメントは、稚内が日本の最北端であること、そして過去の歴史を静かに語りかけてきます。徒歩数分圏内で気軽に見て回ることができるため、列車の待ち時間や短い滞在時間でも、稚内の特色を感じることができるでしょう。

4. 稚内観光のベストシーズン
稚内観光のベストシーズンは、気温が温暖で過ごしやすい夏季(6月~8月)です。ただし、夏季は観光客が多いため、宿泊施設の予約はお早めに。冬は非常に寒くなりますのでご注意ください。
5. 稚内観光の注意点
交通:稚内市内の移動は、レンタカーが便利ですが、駅周辺の観光地は徒歩でも訪れることが可能です。稚内までは札幌や旭川からJRの特急列車が走っている他、札幌などから長距離バスも走っています。北海道外から訪れるのであれば新千歳空港や東京から稚内空港までの直行便があるので、空路を使うのが便利でしょう。空港からは連絡バスで市内まで向かうことができます。
宿泊施設: 稚内市内の宿泊施設は、数に限りがあるので、早めの予約をこころがけましょう。宗谷岬周辺で宿泊すると、貴重な夜のライトアップされた宗谷岬をみることができるのでおすすめです。
6. まとめ
稚内は、最北端の絶景、豊かな自然、新鮮な海の幸など、魅力あふれる観光地です。この記事を参考に、稚内観光を計画してみてはいかがでしょうか。ぜひみなさんも稚内を訪れてみてください!