みなさんはただ広がる草原をみたことがありますか?
日本の最北端、北海道に広がるサロベツ原野は、広大な湿原、そこに息づく貴重な動植物、そしてどこまでも続く水平線が織りなす、まさに「最果ての絶景」です。この記事では、サロベツ原野の魅力を最大限に伝えるために、基本情報からアクセス方法、見どころ、服装、注意点まで、日本縦断中に実際にサロベツ原野を訪れた東大生ライターが解説します。
1. サロベツ原野とは?
サロベツ原野は、北海道の北部、稚内市、豊富町、幌延町にまたがる広大な湿原です。その面積は約20,000ヘクタールにも及び、日本最大の泥炭湿原として知られています。
サロベツ原野は、その独特な景観と生態系から、国際的にも重要な湿地として保護されています。具体的には、ラムサール条約登録湿地、利尻礼文サロベツ国立公園、そして日本の重要湿地500に選定されています。これらの指定は、サロベツ原野の自然環境の重要性を示すものであり、その価値は計り知れません。

2. サロベツ原野の見どころ
サロベツ原野には、訪れる人々を魅了する数多くの見どころがあります。
- サロベツ湿原センター:サロベツ原野の自然や歴史について学ぶことができる施設です。センター内には、湿原の動植物に関する展示や、湿原の成り立ちを紹介する映像などがあります。また、センター周辺には木道が整備されており、気軽に湿原散策を楽しむことができます。湿原センターは、サロベツ原野を訪れる際の拠点として最適です。
- 幌延ビジターセンター:サロベツ原野の北部、幌延町にある施設です。センター内には、湿原の自然や歴史に関する展示や、周辺の自然情報を紹介するコーナーなどがあります。また、センター周辺には遊歩道が整備されており、四季折々の湿原の風景を楽しむことができます。幌延ビジターセンターは、サロベツ原野の北部を観光する際の拠点となります。
- ペンケ沼・パンケ沼:サロベツ原野に点在する2つの沼です。これらの沼は、水鳥の繁殖地および渡り鳥の中継地として重要な役割を果たしており、多くの水鳥を観察することができます。特に、バードウォッチング愛好家にとっては見逃せないスポットです。
- サロベツ原生花園:サロベツ原野の中でも、特に多くの花が咲くエリアです。春から秋にかけて、100種類以上の花々が咲き乱れ、訪れる人々を魅了します。色とりどりの花々が織りなす風景は、まさに絶景です。
3. サロベツ原野に生息する貴重な動植物
サロベツ原野は、ここでしか見られない貴重な動植物の宝庫でもあります。
- 植物:ワタスゲ、エゾカンゾウ、ヒメシャクナゲ、ミズバショウなど、湿原特有の植物が数多く生育しています。これらの植物は、サロベツ原野の景観を特徴づける重要な要素です。
- 動物:エゾシカ、キタキツネ、オジロワシ、タンチョウなど、様々な動物が生息しています。特に、シマアオジは、国内ではサロベツ原野でのみ繁殖が確認されている貴重な野鳥です。これらの動物たちは、サロベツ原野の生態系を支える重要な役割を担っています。
4. サロベツ原野へのアクセス方法
サロベツ原野へのアクセス方法は、主に以下の3つです。
- 車:札幌から国道231号線、国道40号線を経由して約4時間。レンタカーを利用すれば、自由に観光スポットを巡ることができます。
- JR:JR宗谷本線を利用し、豊富駅または幌延駅で下車。JRを利用すれば、車を運転する必要がなく、移動中の景色を楽しむことができます。
- バス:豊富駅、幌延駅からバスでの移動も可能です。公共交通機関を利用すれば、環境に配慮した旅行ができます。

5. サロベツ原野観光のベストシーズン
サロベツ原野観光のベストシーズンは、季節ごとに異なります。
- 春(5月~6月):ミズバショウやワタスゲなどの花々が咲き誇り、湿原が最も美しい季節です。春のサロベツ原野は、生命力に満ち溢れています。
- 夏(7月~8月):エゾカンゾウやノハナショウブなどの花々が咲き乱れ、湿原が最も賑わう季節です。夏のサロベツ原野は、色とりどりの花々で彩られます。
- 秋(9月~10月):草紅葉が美しく、湿原が幻想的な雰囲気に包まれる季節です。秋のサロベツ原野は、落ち着いた雰囲気の中で自然を楽しむことができます。
- 冬(11月~4月):雪に覆われた湿原は、静寂で神秘的な雰囲気に包まれます。冬のサロベツ原野は、他とは異なる魅力があります。
6. サロベツ原野観光の服装と持ち物
サロベツ原野は、天候が変わりやすく、気温も低いことがあります。そのため、以下の服装と持ち物を用意することをおすすめします。
- 服装:防寒性、防水性、防風性に優れた服装。重ね着できる服装がおすすめです。
- 靴:防水性、防滑性に優れたトレッキングシューズや長靴。湿原を歩くのに適した靴を選びましょう。
- 持ち物:帽子、手袋、マフラー、雨具、タオル、飲み物、虫除けスプレー、双眼鏡。季節や天候に合わせて必要なものを持参しましょう。
7. サロベツ原野観光の注意点
サロベツ原野は、自然豊かな場所ですが、以下の点に注意する必要があります。
- ヒグマ:ヒグマが出没することがありますので、単独行動は避け、鈴やラジオなどを携帯しましょう。ヒグマ対策は、安全な旅行のために重要です。
- 天候:天候が変わりやすいので、最新の天気予報を確認し、悪天候の場合は無理な行動は控えましょう。天候の変化に備えて、準備を怠らないようにしましょう。
- 服装:気温が低いことがありますので、防寒対策をしっかり行いましょう。特に、朝晩は冷え込むことがあります。
- 持ち物:虫除けスプレーや雨具など、必要なものを忘れずに持参しましょう。快適な旅行のために、必要なものを準備しましょう。
- 自然保護:動植物を採取したり、ゴミを捨てたりするなど、自然を傷つける行為はやめましょう。自然を大切にする心がけが重要です。
8. 〜最長片道切符の旅1日目〜 旅の記録inサロベツ原野
10:29 稚内駅を出発
国鉄型気動車に揺られながら、広大な草原を走り抜けます。窓を開けるととても気持ちが良いです。この日は天気がよく、途中利尻富士を眺めることができました。しかし、一瞬だったので写真を撮りそびれました。宗谷本線のこの区間は「何もない」ことを実感させてくれるような場所です。

11:15 宗谷本線豊富駅に到着
約45分列車に揺られ、目的地の豊富駅に到着しました。豊富駅からは事前に予約しておいた乗合バスを使ってサロベツ湿原センターに向かいます。乗り換え時間もまた45分あるのでどうしようかと思っていましたが、なんともレトロな駅舎で、くつろいでいると一瞬で時がすぎます。

12:02 予約制乗合バスに乗車
この日この乗合バス(料金は300円)を利用したのは自分を含めて二人でした。バスの運転手の方は地元の方らしく、「こっちの方が原野がよく見えるぞ」といい、本来のバスルートを外れて景色の良い場所へ連れて行ってくれました。そこからみた原野が一番広く感じました。
12:20 サロベツ湿原センターに到着
バスを降りて湿原センターへ向かいます。想像以上に立派な建物です。
野鳥や花、草などの紹介がありました。私は植物はあまり詳しくないのですが、展示方法も面白く、楽しかったです。途中ハチが館内に紛れ込み、館内にいた人たちは少々パニックになっていました。
12:30 いももちを食べる
湿原センターに併設されている食堂で北海道名物芋もちとうどんのセット(900円)を食べます。かつてはその調理の容易さから屯田兵の食料としても食されたと言われる芋もち。この芋もちを食べていると、先ほどのバスの運転手が缶コーヒーを片手にやってきて
「どこからきたん?」
「東京からきまして、今日本縦断をしています!」
といった会話をしばらく楽しんだのち、運転手の方はそそくさと次の便の乗務に向かっていきました。こういったちょっとした交流も旅の醍醐味です。

12:50 木道散策
サロベツ湿原センターの奥には広大な草原が広がっています。動植物保護の観点から草原の上に木道が設置されており、人々はその上を歩きます。日射が強い日だったので白い木道がとても眩しい。それでもこの広大な平野はあらゆる悩み事を吹き飛ばすほど素晴らしいのです。先ほど撮りそびれた利尻富士も湿原の奥に見えました。

13:30 レンタサイクルで出発
豊富町ではレンタサイクルが運営されており、しかも別の場所に乗り捨てることができるのでとても便利です。この日はサロベツ湿原センターから最終的には駅を挟んだ反対側にある豊富温泉に向かいます。自転車を借り(1000円)出発します。
途中、親子ライダーのかたが後ろから迫っていたので、自分も負けじと必死で漕ぎますが、レンタルのママチャリでは思うようにスピードが出ません。猛スピードで追い抜かされてしまいました。
14:00 スーパーで休憩
北海道とはいえ30分も必死で自転車を漕ぐととても疲れます。駅が近づいてくると店も増えてくるので、パッと見つけたスーパー(フードインタイムリーイトウ豊富店)で牛乳(97円)を購入し水分補給。たまに見かける「サロベツ牛乳」を作っているのがこの豊富町内の会社らしいです。

14:10 駅で休憩
牛乳では疲れが完全には取れなかったので、あのレトロな豊富駅で再度休憩。駅の隣には観光情報センターが併設されており、ここで豊富町の牛乳を使用したカタラーナ(250円)を購入し駅舎で食べます。ものすごく美味しかったです。生き返りました。
14:20 再び出発
ここからさらに8キロほど自転車を漕いで行きます。。。
まとめ
サロベツ原野は、その独特な景観と貴重な生態系から、多くの人々を魅了する場所です。この記事を参考に、安全に、そして存分にサロベツ原野の魅力を体験してください。サロベツ原野での旅行が、素晴らしい思い出となることを願っています。ぜひみなさんもサロベツ原野にいってみませんか?